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スマホの普及に伴ってウェブサイトの安全性が大きな問題になっています。ウェブサイトから氏名やアドレスを入力することは、安全なのでしょうか?

答えを先に言いますと安全ではありません。その理由は、インターネットの仕組みが開発された1980年代にはセキュリティの概念は存在せず、オープンな思想で設計されたからです。そのため、昨今のインターネットでは、詐欺に合う危険性が高まってきたのです。

例えば、いつも利用している銀行から、「安全性チェックについて」などと書いたメールが届き、リンク先がその銀行とそっくりのウェブサイトになっていると、かなりのユーザーがそれを信用してしまいます。これがいわゆる「なりすまし」詐欺の手口です。あるいは、街中で使える公衆無線LANに接続したスマートフォン上のウェブサイトから個人情報を入力すると、通信経路の途中でデータを盗み取られる危険性があります。これがいわゆる「スキミング」詐欺の手口です。

これらの危険性からユーザーを保護するために考案されたしくみが「セキュアサイト」です。その役割の一つ目は、ウェブサイトからのデータ送信を暗号化することで、経路途中でデータを抜き取られてもデータを読めなく機能です。二つ目はウェブサイトの所有者を認証機関が調査することで企業の実在を証明する機能です。認証機関が企業の存在を確認して認証シールを発行するので、ユーザーはウェブサイト上に貼られた認証シールを確認することにより、今見ているウェブサイトが「なりすまし」でないことを知ることができます。

グーグルはインターネットの信頼性を向上するために、すべてのウェブサイトのセキュア化を推奨しています。その一環として今年7月よりセキュア化されていないウェブサイトを検索すると、グーグルクロムのアドレスバーに「保護されていない通信」という警告文字を表示するように変更しました。かなり強引なやり方ではありますが、インターネットの信頼性を重視するグーグルの強い意志が感じられます。

アドレスの最初が「http」ではなく「https」から始まるウェブサイトがセキュアサイトです。このウェブサイトは暗号化されているので「スキミング」される心配はありません。次に、ウェブサイトの中に「Secured by ‥」と書かれた認証シールが貼られているサイトは認証サイトです。そのサイトは認証機関が企業の存在を確認しているので、「なりすまし」の心配はありません。

ネット予約やネット通販を利用する機会は、これからますます増えてくると思います。皆様にはそのウェブサイトがセキュアサイトであることを、上記の方法で確認してから、個人情報の入力を始めることをお勧めします。

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アメリカ向けに日本酒の輸出量がここ数年急増しています。何が原因なのかはわかりませんが、日本酒を飲むアメリカ人は確実に増加しているようです。20年以上に渡って生産量が減り続けている日本酒が、海外の市場に向けて大きく輸出が拡大するなら、疲弊している酒蔵と価格競争力が乏しい国内の米作りにおいて、将来の大きな展望が開けてきます。アメリカ国内で日本酒が多く飲まれているのは、東海岸のニューヨークと西海岸のロサンゼルスが、2大中心地だということです。今回はロサンゼルスの日本酒事情を調査してきました。

結論から言うと、期待していたほど日本酒がアメリカ人家庭に普及している様子は無く、すし店等で提供される日本酒がアメリカでの飲み方の主流のようです。ワインのように自分で銘柄を選んで購入して自宅で飲む人はまれなようです。しかしお店が選んだ日本酒を飲む受け身の姿勢では、銘柄の味の違いに関心は薄くなりがちです。そしてこれは日本酒離れを起こした日本の状況と同じであり、このまま推移するとアメリカでも同じように日本酒離れを引き起こす危険性があります。日本酒をアメリカ人家庭でワインのように普及させるためには、日本とは異なるやり方で日本酒を取り扱う必要があるようです。

そこで、ロサンゼルスのアメリカ人家庭に日本酒をぶら下げて乗り込みました。自宅の庭で提供されたバーベキューの肉をほおばりながら、持参した日本酒をグラスに注いで、相手と一緒に飲みます。ところが返ってきた答えは、「うーん? ワインはもっとフルーティだ」とのこと。その後相手が持って来たのは、なんとコストコの冷凍ブルーベリー。数個のブルーベリーを日本酒グラスに放り込むと「うまくなった!」と言って、ブルーベリーをこちらのグラスにも入れてくれました。これを飲んでみると確かにフルーティでうまい。しかも面白いことに、どの日本酒も平等にうまくなるのではなく、やはり純米大吟醸の高級酒の方がうまい酒になります。これは予想もしなかった展開であり、新たな発見でした。

これまでの日本酒の常識にとらわれないで、相手が旨いと思う飲み方を提案し、結果が良ければ広く情報発信する。このような斬新な取り組みが、自宅で飲むワインを日本酒に置き換えることにつながり、やがて大きな市場へと変貌する可能性が考えられます。アメリカでの日本酒はうまい! こう言わせるアイデアがまだまだ不足しています。そしてそこに海外での日本酒が大きく開花するヒントがあるように思われます。アメリカの日本酒

1953年に始まってから半世紀以上に渡ってマスメディアの中心に君臨してきたテレビ放送が、5Gの登場によっていよいよ終焉を迎える可能性が見えてきました。5Gは先月にも本コラムで取り上げた次世代モバイル通信規格の名称で、1ギガビット毎秒の通信速度が得られる携帯通信技術です。5Gではスマホを端末装置としてテレビにつなぐだけで、すべてのテレビ放送を見ることができ、衛星放送やケーブルテレビはもちろん、地上波放送も不要になります。

かつて携帯電話が隆盛だったころ、地上波放送を携帯で見ることができる日本独自のワンセグ放送が始まりましたが、その後のiPhoneに始まるスマホの普及で、携帯によるテレビ視聴は下火になりました。この時のワンセグはあくまで地上波を使った技術でありネットは使っていませんでした。これに対して5Gはネットでテレビ放送を受信するものでワンセグとは異なります。5Gはテレビ放送を外出先ではスマホで見ることができ、自宅ではスマホをテレビにつないで見ることができるので、ケーブルや電波という媒体そのものが不要になります。今でもテレビの視聴を有線のインターネットのオプションで契約している家庭もありますが、これは利用者から見ればケーブルテレビと同じようなコストと手間がかかり、あまり魅力的とは言えません。しかし5Gではスマホさえあれば設備不要、工事不要、移動自由なので、利用者には大きな魅力です。

ただしテレビの地上波放送には大きな利権が絡んでいるので、これが政治的圧力となって技術の進展を阻む要因になることは容易に想像できます。実は今でもテレビ放送をスマホで見ることは技術的に可能なのですが利権が絡むために、過去に放送済みの番組をオンデマンドで見る状態にとどまっています。しかし5Gで世界に後れを取らないためには、テレビ放送のインターネットへの開放は避けて通れないものと考えられます。

ドコモが開発したiモードも、地上波デジタルのワンセグ放送も、日本が世界に先駆けて開発した技術はどれもガラパゴス化して長続きしませんでした。5Gでは利権による縛りをできる限り排除し、誰もが便利に使えて世界に通用する、共通規格を打ち立ててもらいたいものだと思います。液晶テレビ

今年の7月11日に総務省は「ICTインフラ地域展開戦略検討会 最終とりまとめ案」を公表しました。注目されるのは5Gの活用による社会の大きな変化です。5Gとは第5世代のモバイル通信規格の名前で、現在より100倍速い通信速度が得られる技術であり、早ければ2020年からの実用化が計画されています。

1990年から始まった初期の携帯電話は2Gで、音声通信の機能だけでした。これが2000年頃から3Gになり、当時「写メール」と呼ばれた写真を撮って送れる携帯電話が流行しました。その後2010年頃から現在の4Gになり、どこでも動画が視聴できるスマホとして現在に至っています。これがさらに高速になって何に使うのかというと、注目されているのが車の自動運転です。現在の4Gでスマホの動画を見ていると、映像が時折止まることを経験したことがありますね。これは通信が錯綜した時に起こる現象です。もしこれが自動運転中に発生すると、大変危険な状態となります。5Gなら多数の車が一斉に自動運転していても、安全に誘導されるようになり、完全自動運転社会が現実のものとなってきます。完全自動運転が実現すれば車は自分のいる場所に勝手に来るので、駐車場まで行く必要が無くなります。これにカーシェアが組み合わされれば、高齢者も安心して移動ができる、優しい社会が創出されると予想されます。

良いことずくめの5Gによる自動運転車ですが、日本経済全体を眺めると、大きなリスクが潜んでいます。完全自動運転に必要と考えられる一般道の情報は、グーグルマップやストリートビューなどを展開するグーグル1社が独占しています。自動運転車を製造できる企業は日本以外にも世界に数多く存在しますが、自動運転の頭脳部分は世界でグーグル1社しか製造できなくなるかもしれません。そうなるとすべての自動車メーカーはグーグルの下請け企業という位置づけになります。いやさらに可能性が高い将来像は、現在のアップルiPhoneに見られるように、米国で設計を行って中国で組み立てをするという、国際分業体制です。そうなると、日本の自動車産業も日本の家電メーカーが辿った道を歩むことになりかねません。

大きな社会変化を巻き起こす可能性のある5Gですが、その未来にはバラ色の世界とイバラの道の両方が待っているようです。未来は先端技術で発展する、輝かしい日本であることを信じたいと思います。

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何か知りたいことがあったらパソコンやスマホで検索する、これはもはや日常生活になっていることと思います。そして知りたい情報は検索したページの上位に的確に表示されていて、多くの検索において、かなり満足度が高い結果となっているようです。世界のウェブサイト数は3億ほどあると言われる中から、的確なウェブサイトを選択して順位を付ける、グーグルの検索ランキングシステムはどうなっているのでしょうか?

アマゾンや楽天などの消費者向けビジネスはもちろん、企業間取引でも受発注先情報をネットで検索することが一般化しており、企業においては自社のウェブサイトが上位に表示されることは、事業発展のために不可欠なこととなっています。ウェブサイトを上位表示させることをSEO対策といい、それを請け負うSEO対策業者が数多くありましたが、今は鳴りを潜めています。SEO対策業者が表舞台から姿を消したのは、ウェブサイトの順位を意図的に変えることができないように、グーグルが対策に乗り出したことがその理由とみられます。

かつてSEO対策業者はグーグルのアルゴリズム(計算法)を解析して、依頼者のウェブサイトが上位表示されるように工夫を行っていました。例えば、作為的に作られた大量のウェブサイトから集中的にバックリンクを設定したり、ウェブサイトに合う大量のコンテンツを作文して文字数を増やしたり、さまざまな手段を講じて依頼者のウェブサイトを検索上位にもってきました。しかしグーグルはAI(人工知能)を持つクローラー(調査ロボット)を開発して、意図的に順位を変える手段を封じたのです。いまでも新たなSEO対策が試みられていますが、そのたびにグーグルがクローラーをアップデートする流れが繰り返されています。

それでは現在の検索順位はどうやって決まっているのでしょうか? それは、本コラムの最初のフレーズにヒントがあります。グーグルは「訪問者の役に立つ」ウェブサイトが上位に出るように、アルゴリズムの改善を続けています。ウェブサイトに自社の商品カタログを掲載するのではなく、自社の商品で訪問者のどんな問題を解決できるのか、役立つ情報を掲載することによって、上位に表示されるようになります。訪問者が求めている情報を的確に提供するウェブサイトが、検索時に上位にランクされることに気づいた企業が、ウェブサイトから多くの顧客を集めているようです。

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OECDのデータによると、2016年の日本の時間当たり労働生産性は46ドルでした。これは米国の3分の2の水準で、OECD加盟35か国中20位です。現在政府は働き方改革を進めていますが、労働生産性を米国並みに引き上げずに労働時間を短縮すれば、国全体が貧困化することは明らかであり、労働生産性の改善が急務となっています。

労働生産性が先進国の中で日本が見劣りする原因は、中小企業におけるオフィス業務の自動化が遅れているためと見て、政府は今年度のIT導入補助金を大幅に増額して、中小企業のICT化を後押ししています。米国の中小企業は伝票処理を専用ソフトで自動化しているのに対して、日本の中小企業では今もエクセルやワードを使っている例が目立ちます。日本の中小企業はICT化への投資が遅れてきたことは疑いが無いようです。

米国と日本のオフィスを見比べてもう一つ気が付くことは、日本のオフィスには異様にノートパソコンの比率が高いことです。ノートパソコンはデスクトップパソコンに比べると、画面が小さいだけでなくキーボードも小さく、キーボードにテンキーが付いていない機種がほとんどなので、入力作業が多いオフィス業務では、これだけで労働生産性を低下させています。ノートパソコンはデスクトップパソコンよりも性能が劣るため、電源を入れた後の起動時間が長く、ソフトウェアの起動時間も長いので、気づかない間に貴重な時間を浪費しています。

映画を見ていてお気づきの方もいるかもしれませんが、海外のオフィスの机上には2台あるいは3台のディスプレイがあるのが普通です。パソコンにディスプレイが2台以上あると作業性が格段に良くなることから、多くのオフィスでデュアルディスプレイやマルチディスプレイが当然になっているのです。このような事情も日本の労働生産性に影響しているのかもしれません。僅かな投資でディスプレイを追加するだけで、パソコンの作業性が格段に良くなりまパソコン環境を改善するだけで、オフィスの労働生産性はかなり完全できることを、日本の中小企業経営者に知ってもらいたいものだと思います。

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パソコンやスマートフォンでインターネット検索すると、入力した言葉(キーワード)に合致するウェブサイトが順次表示されますね。ウェブサイトは誰でも自由にウェブサーバーにアップすることができます。一旦アップされたウェブサイトは、まもなくグーグルが順位を付けて、検索画面にそれに従って表示される仕組みです。ここでは、高度なアルゴリズムによってグーグルが順位を決めているので、誰でも目的に合ったウェブサイトを見つけることができるのです。

グーグルが誕生した1998年9月から現在まで、パソコン用ウェブサイトで順位付けをしてきました。スマホで検索する場合でもパソコンでの順位がそのまま流用されてきました。

そのやり方を今年の3月27日から変更するとグーグルは発表しました。スマホ用モバイルサイトで順位を決めて、パソコンにはモバイルの順位が流用されることになったのです。

この仕様変更に関する名称を、グーグルは「モバイルファーストインデックス」と表現しています。

一般ユーザーの方にとっては「それがどうした?」という事かもしれませんが、インターネットでビジネスを展開している事業者にとっては、この変更は死活問題なのです。かつて(今でも)検索画面の上位表示させるために、SEO対策と称して毎月数十万円を支払っている事業者もあるくらいです。これからはスマホでの順位が、ビジネスの成否を左右するのかもしれません。

皆様がお持ちになっているウェブサイト、あるいは関係しているウェブサイトがありましたら、これからはパソコンだけでなくスマホでもチェックすることをお勧めします。スマホでは見づらいパソコンサイトのままになっているなら、モバイルファーストインデックスによる影響で検索順位が下がる可能性が高くなります。

すでに検索順位に影響が出ている場合は、パソコンとスマホの両対応できるレスポンシブサイトに作り変えることで、この問題を回避できるかもしれません。今回の変更はサイトごとに順次行われるので、影響が現れる時期はサイトによって異なります。

ところでグーグル検索では、いろいろな便利機能があるのをご存知ですか?

地元の天気予報を知りたい場合は「天気 名古屋」で、食べ物のカロリーを知りたい場合には「カロリー りんご」で、プロ野球の勝敗なら「チーム ドラゴンズ」で、株価を見るなら「株価 ソフトバンク」で、宅配便の到着時間は「ヤマト 9999-9999-9999」でリアルタイムに表示されます。これら検索語の単語を入れ替えるだけで、必要とする情報が簡単に取り出せます。

ぜひ一度お試しください。

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3月30日に観光庁から発表された統計調査では、日本人旅行客の微減が継続し外国人旅行客の増加がそれをカバーするという傾向が、今回さらに浮き彫りとなりました。

外国人旅行客は新たな視点で日本の魅力を発見し、それが新たなビジネス創造に結び付く事例が数多くあります。 本コラム2月号では、訪日外国人旅行者が日本酒を飲んだことがきっかけとなって、海外における日本酒ブームを巻き起こしていることを書きました。そこで農水省では日本酒をフランスワインのような戦略商品として、海外輸出の目玉商品となるよう本腰を入れ始めています。そのためには、品質の良い酒造好適米が大量に必要となるため、農家には酒造好適米の生産にシフトするよう誘導するようです。また元サッカー選手の中田英寿さんは、海外のレストランでの日本酒の保存状態が良くないので、日本酒を美味しく飲むための日本酒セラーの開発を、日本企業と一緒に進めているそうです。こうなると外国人旅行者の増加はいわゆる観光業だけでなく、農業や製造業まで含めた広範囲の業種に、新たなビジネス機会をもたらすことが期待されます。

 

一方で外国人旅行者による影の部分も大きくなっています。外国人旅行客が著しく増加している京都の観光拠点では、着物を着た若い女性が闊歩しています。ところがその着物は京都製ではなく中国製で、着物をレンタルする業者も中国人、支払いはアリペイなどの中国版モバイル決済です。また羽田空港国際線にずらっと並ぶ自家用車は観光白タクで、ここでも中国人ドライバーが中国人旅行客を乗せて都内観光に連れ出し、支払いはやはりアリペイで車内決済だそうです。これでは、日本は軒先を貸すだけで実入りの無い観光地となり、地域振興にもならない危険性があります。外国人旅行者のニーズは中国人を始めとする外国勢がよく理解しており、日本人起業家は一歩出遅れている感があります。

外国人旅行者による国内旅行消費額は、日本の国家予算の9%に近い年間5兆円です。政府目標の2020年に4千万人が来日すれば金額は8兆円になります。これをうまく日本企業が自社の発展に取り込むことができれば、国民経済は大きな繁栄を享受できるはずです。そのためには、より多くの日本企業が外国人対応ビジネスのやり方を学ぶ必要がありそうです。

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日本人は小型化軽量化が得意な民族として世界的にも有名です。街を走る車の3台に1台が日本独自の軽自動車であり、パソコンの3台に2台はノートパソコンです。軽自動車が普及してノートパソコンが主流を占めるのは日本独自の状況ですが、小型軽量化を好むのは日本人の歴史文化によるものです。

京都と江戸の往来が盛んだった江戸時代、日本人は東海道を歩いて旅をしていました。旅の装備は持って歩くので、小型軽量化したアイテムが求められました。それが非常時の薬を入れる薬篭であり、暑さから身を守る扇子だったのです。歩いて箱根の山を越え、川越人足で大井川を渡る旅が、日本人に小型軽量化の大切さを文化として埋め込んだのです。

一方、同じ時代の欧州では、人の移動は馬車が主力となっていました。荷物は馬車に積むので小型軽量化の必要は無く、頑丈で耐久性のあるアイテムが好まれる文化が生まれました。馬車が走る道は幅広く作られていたので、その道をやがて現代の自動車が走ることになります。やがて欧州からアメリカに渡った人たちは、広大な国土を走りぬくために、頑丈で乗り心地の良い自動車を求めました。

一時、アメリカでも小型の日本車が広がりましたが、それはガソリン価格の高騰に対する防衛手段であり、小さな車を好んでいたわけではなかったのです。そのためガソリン価格が下落すると大きなアメリカ車に需要がシフトするのです。アメリカ人が好むものは、大きく、頑丈で、強力なアイテムなのです。

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「このかばんは誰のもの?」と聞かれて「私の!」という場合、日本人なら自分の顔を指さしませんか? この光景を見てアメリカ人が笑いました。「あなたの指がさしているのはただの鼻だよ」。それなら「私」という場合にアメリカ人ならどこを指すの? 「それは私におまかせください!」と言った時の彼の右手は、左の胸を押さえていました。「人のハートはここにあるだろう」と言うのです。

これは、日本人が私と指さしているのは、鼻ではなくてその奥にある脳を意識しているのでしょう。それに比べてアメリカ人は、自分の存在は心臓を意識しているのです。日本人は頭(ブレイン)で物事を考えるのに対して、アメリカ人は心(ハート)で考えるのです。

ところで、日本で裁判を受ける場合は、裁判員裁判を除くと、プロの裁判官が申し立てを頭で考えて、正しい判決に導きます。一方、アメリカで裁判を受ける場合は、陪審員で数名の一般人が心で考えて、正しい評決に導きます。

つまり日本人とビジネスをするには理性に基づいた表現が有効なのに対して、アメリカ人とビジネスをするには感情に基づいた表現が有効なのです。自動車の広告を日米で比べると、走りの性能や取り回しの良さなど性能面を訴える日本のウェブサイトに対して、ラグジュアリー感やデザイン面を訴える米国のウェブサイトに、日米の違いを感じていただけると思います。

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