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グーグルが作り上げた地図ソフトであるグーグルマップは、iPhoneやiPadなどのApple製品に搭載され、今や世界標準の地図となっています。ところが、Appleはこの秋に発売するモデルから、独自の地図ソフトを搭載することを発表しました。グーグルが開発したスマホ用OSであるアンドロイド搭載機種が数多く発売され、iPhoneの牙城を脅かしていることに対抗するためと見られています。しかし、Appleの狙いは単なるアンドロイド対策にとどまらず、成功したiPhoneに続いてカーナビビジネスへの参入にあるようです。

Appleは日米欧の代表的な自動車メーカと、ハンドルに音声検索ボタンを搭載した自動車の発売を、1年以内に実現する方向で話し合っている模様です。これは、車に乗ったら目的地をつぶやくだけで自動的に案内を始めるカーナビを搭載するようです。人の声を認識して必要な動作をする仕組みは既にiPhoneで実証済みですから、後はそれに対応した地図があれば人の声で自由に動かせるカーナビが作れます。その目的のためにも、Appleが音声検索に適した地図を開発する必要に迫られたことも考えられます。

現在のiPhoneもカーナビアプリをインストールすれば、そのままカーナビに変身します。そのため、大手カーナビメーカでは「近い将来にカーナビは消滅する」ことも視野に入れた経営計画を立てているそうです。しかし、Appleはカーナビを次の戦略商品として音声認識を使った革新的なシステムを発表し、携帯電話の時と同じように全世界の市場を席巻する計画を立てている可能性があります。目的地をつぶやくだけで住所や電話番号の入力が不要、運転中でも目的地変更や確認ができるカーナビが完成すれば、日本製カーナビはガラパゴス化して、国内メーカは携帯電話がたどった道を再び歩む可能性も十分考えられます。

Appleのカーナビシステムが世界標準化されると、どの車に乗ってもiPhoneを持ち込んで接続するだけで、たちどころに音声カーナビとして使えるようになるでしょう。これは利用者にとって大変便利な機能である反面、Apple製以外のスマホ利用者はApple製カーナビを購入する必要に迫られます。Apple製スマホかApple製カーナビのどちらかが必需品になる、つまり世界中の誰もが必ず一つはApple製品を持ちたくなるという、まさに究極の独占形態が形成されます。ネットのつながりを利用して、ドミノ倒しのように次々と他社製品を駆逐していく、Appleの恐るべき戦略が透けて見えるようです。

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昨日18時からの会見で、「大飯原発を再稼働させないと日本が立ち行かぬ」と、ようやく本音の一部を吐露し始めた野田首相。複雑に絡み合った原発問題の原点にようやく漕ぎつけたようですが、まだまだ国民の理解を得るには程遠い内容だと言わざるを得ません。そもそも一国の首相たる者が国民に語りかけることは、この国の未来をどうするのか、夢のあるビジョンであるべきです。脱原発で豊かな国づくりをを目指すならそれも良いでしょうし、逆に原発比率を高めて脱炭素社会を目指すのも一つの考えです。これらのビジョンを示した上で、国民の多くが望む方向を確認して、その方向に進んでいくように手段を講じるのが筋というものです。政治家がビジョンを示し、それを達成するための最適な手段を講じるのが行政であり官僚の役割です。いま議論されている、原発を再稼働云々は、ビジョン以前の単なる手段の問題です。原発だけではありません。消費税増税にしても、これは手段の問題であり、その先にどのような国づくりをするためなのか、そのビジョンについての説明や議論がなされていません。首相は手段に振り回されているように見えますが、首相は明確なビジョンを国民に示して、その賛否を国民に問うべきでしょう。

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