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3月末日をもって平成最後の年度が終わりました。平成の30年間はIT技術の爆発的な進歩と共に歩んできた期間でもありました。平成元年の日本では、NEC「PC-9801シリーズ」と言われる日本語MS-DOSを搭載したパソコンが幅を利かせていました。そこに富士通が「FM TOWNS」というCD-ROMが使える画期的なマルチメディアパソコンをデビューさせたのがこの年でした。

当時日本車が大量に対米輸出され、その黒字で得たドルで不動産業者が米国の高層ビルに集中投資を行っており、日本のGDPが世界一になると言われていた時代でした。しかしその裏側ではカリフォルニアにシリコンバレーが生まれ、IT技術の驚異的な成長が生まれていたのです。

当社「ベルエアー」が誕生した平成4年の出来事ですが、筆者は納品業者として名古屋市守山区にあるアメリカンスクールを訪問する機会がありました。そこで目にしたものは、小学校にコンピュータ科担当の先生がいて、小学生に「ベーシック」というプログラム言語の使い方を教えている姿でした。日本の学校にはパソコンなど無い時代、その学校には数多くのパソコンがありました。それから数年後、日本でも始められた中学校でのコンピュータ教育は、技術家庭科で「ワード、エクセル」の使い方を教えることでした。コンピュータで「考える」か「覚える」か、この違いが後に、大きな日米格差を引き起こすことになります。

当時日本は半導体王国と言われ、平成14年のNHK番組「プロジェクトX」でも、日本企業の半導体メモリ製造技術が取り上げられました。しかしその放送から10年も経たないうちに、日本の半導体メモリは韓国に抜かれました。半導体王国であった時間は歴史の中の一瞬の出来事で終わったのです。一方、日本に半導体メモリで追い抜かれたアメリカのインテルは、製造技術よりもプログラミング技術が問われるCPU開発に社運を賭けて事業転換しました。その後のインテルは世界一のCPUメーカーとして今も世界に君臨しています。

小学校のコンピュータ教育で、考え方を教えていた米国、使い方を教えていた日本、この違いがその後のIT技術の発展に、致命的な差別化を作り出したことは間違いないでしょう。まさに教育方針が国の発展と衰退を決めるものであることを、歴史が証明した事例とも言えます。

教育・研究費が削られ続けた平成時代はここで終わりにして、これからは次の時代を築く人々のための教育・研究に、国を挙げて力を注ぐべき時が来ているように感じます。

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