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戦後最長の景気拡大が続いているにもかかわらず実感が伴わないのは、従業員数が7割を占める中小企業の生産性が低いままであり、そのため国内の雇用者報酬が増加していないことが原因だ、との分析が多くのエコノミストから出されるようになってきました。そのため政府は中小企業の生産性向上を今期の主要な政策目標に掲げています。

 

所得の変化

図1.雇用者報酬の国際比較(紺色の曲線が雇用者報酬の20年間の変化)

 

ユーロ圏や米国では、労働生産性(いわゆる利益)を上回る雇用者報酬(いわゆる給与)の増加が見られるのに、日本では労働生産性は向上しても雇用者報酬が下がり続けています。この原因は中小企業がその足を引っ張っている、という指摘です。

ここで政府が「中小企業の生産性を向上させる」と宣言しても、政策的にできる手段は限られており、最も取り組みやすい施策は、税金を使った補助金の支給となります。そこで今期も中小企業向けに多種多様な補助金が用意されました。補助金の中でも代表的な補助金として「ものづくり・商業・サービス補助金」「IT導入支援補助金」「小規模事業者持続化補助金」があります。これらは今まさに、今年度予算による公募の時期を迎えています。

しかし、肝いりの補助金制度は必ずしも有効に活用されているとは限らず、年度予算の未消化も発生しているようです。その理由は、政府はこのような補助金制度を、マスコミなどで告知することは無いため、知らない人がまだ多く存在することや、この制度を使って商品やサービスの販売を持ちかける事業者は、顧客からうさん臭く感じられて、信用されにくいことなどが聞かれます。

先進国の中では最低ランクに評価されている、日本の中小企業におけるオフィス業務の生産性。これを向上させることが、国民生活を豊かにする一つの道と考えられています。今年こそは多くの中小企業が補助金を徹底活用することで生産性向上を実現して、利益の拡大、給与の増加、そして実感を伴う景気の改善につないでもらいたいものだと思います。

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