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これは30年も前の話ですが、日本で二人目のノーベル物理学賞を受賞された、朝永振一郎博士の演題です。

「科学と技術は正反対の概念である、技術は実用的な目的に向かって技を高めるものであるのに対して、科学は自然や人間の中から普遍の法則を見出すものである」

「技術は目的に向かって突き進んでいくものだが、科学はいつでも幅広く世界を知って調和を持って進んでいかなければいけない」

「科学者は幅広く世界を知って、一つのものしか見えない科学馬鹿になってはいけない」

「そもそも科学と技術は相容れない概念なのに、科学技術庁などという組織を作ること自体、科学と技術の違いを理解していないものだ」

このようなことを言われていたように記憶しています。

 

朝永博士は東京教育大学長を歴任されましたが、その後の筑波移転計画には反対を貫かれていました。その理由として「科学者は常に社会と一体でなければいけないのに、人里離れた田舎では本来の科学ができない」という本音を、その日の講演でつぶやかれていました。

この日の講演は、大学移転後初めて筑波大学に足を踏み入れられた記念すべき講演で、それから程なく惜しまれつつ逝去されました。

一般に科学者とは研究室に閉じこもっている姿を想像されますが、朝永博士の考える科学は、いつも人や社会と一体になっているものでした。

 

原発建設においても、大自然や人間社会と一体となって考えていれば、もう少し違ったものができていたのかもしれません。

福島原発事故を30年以上も前から予感されていたのではないか、と思わせられる言葉に、今さらながら敬服するものです。

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福島原発1号機が爆発!

このニュースを見たときは、背筋が凍りつく思いでした。

原子炉格納容器が爆発したのなら、これは大事です。チェルノブイリやスリーマイルでの事故とは比較にならない放射能が拡散することは間違いありません。

その後のニュースで、爆発は建屋で発生し、格納容器は無事だったとの知らせに、一旦は胸を撫ぜ下ろしました。

圧力容器内の燃料棒は空焚きに近い状態となっているので、これが溶け落ちて容器の底に穴を開ける可能性は高くなっています。もし穴が開いたら、格納容器が水蒸気爆発を起こし、広範囲に放射性物質が拡散します。

原発放射能の危険性は、放射性物質が風に乗って広く拡散するところにあります。半径何キロまでが危険で、その外側なら安全と考えているなら、これは間違っています。風上にいれば放射能はそれほど上がりませんが、風下にいれば遠距離でも放射能が高くなります。風が強ければ数百キロの遠方まで放射能が拡散しても不思議ではありません。そして風は時間と共に向きを変えるので、今は風上に位置しても常に注意が必要です。

政府の説明は淡々としているので危険性が差し迫っているように感じられませんが、実態はかなり高いリスクを考えるべき状況にあります。地震が襲ってくるリスクを予知することは難しいですが、原発の暴走リスクは判っているこのなので、可能であればなるべく遠方に避難して、危機リスクが下がるのを待つべきです。

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