「バーチャルスラム」という言葉を聞いたことはありますか? AI(人工知能)によって社会から排除される人々が作られる状況、あるいはその集団をバーチャルスラムと言います。

AIが個人情報を共有管理する社会では、AIによって低い評価を付けられた人は、携帯電話などの分割購入ができなくなり、クレジットカードが発行されないなどの不利益を受けます。さらに賃貸住宅に入れなくなったり住宅ローンが利用できなくなったりします。データは採用時の評価にも使われるので、正社員として就職できなくなることにもつながります。いったんAIに嫌われた人は、どこまでも人生の転落を続けることになり、這い上がるきっかけも得られなくなる、これがバーチャルスラムと言われるものです。

SF近未来小説に描かれたこのお話しは、隣国の中国ですでに現実化している出来事なのです。アリペイという電子決済システムを運用している中国企業「アリババ」の信用情報機関「芝麻信用(じーましんよう)」では、あらゆる個人情報を数値化しています。そのスコアの高い人は低金利でローンが組めたり、賃貸物件の敷金が不要になったりする特典が得られる仕組みです。そしてこのスコアが民間企業や政府・裁判所でも共有されているので、スコアの低い人は企業に就職できない、ローンが組めない、VISAが発行されないなどの不利益を被っているのです。その評価基準は非公開で、クレジットやローン契約の際の個人データを元に、収入、資産、借入残高、納税履歴、学歴、職歴、居住地、親類縁者、交友関係などのあらゆる情報から総合的に点数化されます。そのため何が自分の評価に影響しているのかを知ることはできず一旦バーチャルスラムに落ちると、そこから這い上がるすべを見つけることが困難です。

日本でも割賦契約でスマホを購入した若者が、通信料金を延滞した際の信用情報記録が残っていたために、結婚後に住宅を購入しようとしたらローンを組めなかった、という事例は現実にあるそうです。公共料金やクレジットの支払い、税金や健康保険料などの納付、そして戸籍や住民票の正確な届け出など、これからの社会では身辺にスキのないように自分自身をマネジメントすることが大切になりそうです。そしてこのような時代が来ることを、家族や友人・知人にも伝えておくことも必要になってくることと思われます。バーチャルスラム

 

Category: 社長ブログ
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