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9月2日から開始される動画配信サービス「ネットフリックス」が黒船襲来として、映像業界では動揺が広がっています。動画配信というと「ユーチューブ」や「ニコニコ動画」を想像する方もいるでしょうが、これらはユーザーがアップした動画をユーザーが見るという動画共有サービスです。「ネットフリックス」は米国からやってきた有料動画配信サービスで、自らがコンテンツを作って配信しています。いわばインターネット上に新しい放送局が一つ出来るようなものです。
インターネット上の有料動画配信サービスでは2007年に設立された「Hulu(フールー)」があり、日本ではこちらの方が一足早く2011年にサービス開始されました。これは映画会社が中心となって米国ロサンゼルスに設立された企業で、数多くの最新映画の配信サービスに特長がありますが、映画見放題のサービスだけでは多くの人の心をつかむことは出来ず、現在国内では苦戦しています。一方「ネットフリックス」は1997年に米国シリコンバレーに設立された企業で、今まで継続的に全米契約者数1位の座を守っています。その理由は、数多くの映画配信に加え自社独自の質の高い番組コンテンツの制作、既存テレビ局との提携による人気ドラマの配信など、多彩な動画の配信を行っていることです。ドラマなどの視聴中にコマーシャルが入らず気持ちよく見られることから、米国はケーブルテレビと契約していた人々が「ネットフリックス」に切り替える動きが相次ぎ、ケーブルテレビ業界の勢力地図を塗り替えてきました。
米国のテレビ放送は有料のケーブルテレビが一般的に普及していたので、有料の「ネットフリックス」が受け入れられやすく、ケーブルテレビの契約を奪う形になりました。日本では民法テレビ局が地上波で無料配信しているので、有料の動画配信は普及しないのではないか、との意見もあります。しかし途中にコマーシャルが入らないのは映画やドラマなどを気持ちよく見るための大きな差別化要因です。毎月1,000円前後の視聴料を支払うことで多くの映画が見放題、民放各局の人気番組をコマーシャル無しに見ることが出来る、そして独自の映像コンテンツも見られるとあって、「ネットフリックス」が日本でも爆発的に広がるのではないか、との見方が優勢となっています。
日本ではすでにフジテレビと業務提携して、まずはフジテレビの人気番組が先行配信される予定で、今後は他の民法各局とも業務提携を広げていく考えのようです。さらに今後発売されるテレビのリモコンには、「ネットフリックス」接続専用のボタンが設けられる予定で、すでに東芝とパナソニックの一部機種が対応しています。
日本の映像配信業界のあり方を変えることができるのか、「ネットフリックス」に関心が高まります。

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