Archive for » 7月 9th, 2011«

前回のブログに引続き、節電対策に対する疑問です。

今年大手企業に広まる「サマータイム制」。1時間早く出勤して朝の冷房負荷を減らすと共に、電力消費のピークシフトを目的とした対策です。

しかし「サマータイム制」とは本来、夏場に国全体で時計を1時間早めることで日没を1時間遅らせ、夜の照明に使われる電力を節約する目的で考案されたものです。欧米諸国では今も実際に行われています。

「サマータイム」への切り替えは、体感的に日没が1時間遅くなるだけで早起きや夜更かしをしている感覚はありませんが、街角の照明は1時間遅く点灯するので電力消費量は確実に減ります。

しかし今夏企業が独自に導入する「サマータイム制」では街角の照明点灯時刻は変わらないので、節電効果は乏しいものです。

合わせてピークシフトについてもこの対策では効果の無いことが、独立行政法人産業技術総合研究所による研究報告で明らかにされています。

結局これは社員に早起きを強制するだけで、節電やピークシフトの効果は得られない対策と考えられます。

節電やピークシフトには、何が有効で何が間違っているのか、このような国民的なテーマにこそ、政府は専門家を集めて正しい方策を出すべきです。

国全体でのサマータイム制導入などは、本来今年の夏こそ導入すべきだった大切なテーマであったと考えられ、時機を逃してしまったことが残念です。

政治的判断の遅れは、このような問題にも現れています。

(産技研報告:http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20110621/nr20110621.html

Category: 社長ブログ  Comments off