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「ビッグデータ」という言葉は前回お話しした「IOT」と並んで、現在ホットなIT用語の一つです。そんなこと自分には関係ない、と思っている方も既に利用しているかもしれません。コンピュータの能力が飛躍的に高くなって膨大なデータを瞬時に計算できるようになり、思いがけないところで使われているからです。
スマホのグーグルマップにはカーナビとして使える「グーグルナビ」という機能がありますが、普段ご利用になっている方はいませんか。「グーグルナビ」はリアルタイムに渋滞の状況を把握して、最短時間で目的地に到着できるルートを自動的に選択してくれます。普通のカーナビについている「VICS(道路交通情報システム)」も渋滞情報を知らせてくれますが、「グーグルナビ」は走行先の信号機が赤になって車列ができると、たちまちそれがマップ上に反映される即時性があります。あたかもすべての道路状況を常にグーグルが把握しているかのようなしくみは、どうなっているのでしょう。このしくみに「IOT」と「ビッグデータ」が利用されているのです。
スマホをご利用の皆様はいつか画面中に「位置情報の利用を許可」という確認表示が出たことを記憶していますか? これをOKにすると位置情報がグーグルサーバーに送信されるので、近くのお店を表示させたり、スマホを紛失したときに位置を調べたりすることが出来るのです。このしくみを利用して、道路を走行中にスマホの位置が止まっていればそこは渋滞中、動いていれば走行中としてグーグルのサーバーが認識します。多数のスマホから送られる位置情報を瞬時に計算することによって、「グーグルナビ」に渋滞状況を表示させているのです。つまり「グーグルナビ」はスマホ利用者の位置情報をビーコンとして計算することによって、全世界の道路情報をリアルタイムに発信しているのです。これなら「VICS」のように道路上などに多数のセンサーやカメラを設置する必要が無いので、大きなコストをかけずに全世界の道路情報を自動的に把握して「グーグルナビ」に活用できるわけです。皆様がお持ちのスマホが、道路状況を把握するためのセンサーの役割を果しているということです。
物をインターネットに繋いで情報を受発信するしくみが「IOT」、膨大なデータを処理するしくみが「ビッグデータ」と呼びますが、スマホを持っているわれわれは、いつの間にか「IOT」と「ビッグデータ」の片棒を担いでいたと言う訳ですね。そしてグーグルではこのしくみを活用して、旅行などに役立つ新サービスをまもなくリリースするそうです。IT技術は新次元に入ってきたようです。

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ネット通販の配達時間が驚くべき短縮化です。アマゾンのプライムサービスは午後4時までの注文商品を翌日配達でしたが、今は午前9時までの注文で当日配達が多くなりました。ヨドバシカメラのスピード配達は、大型家電も注文から6時間以内に商品を届けます。究極の即配サービスはアマゾンが始めたPrime Now(プライムナウ)、ネットで注文してから1時間以内に商品が届きます。当初は東京・神奈川・千葉の一部地域に限られていましたが、今年2月から大阪、兵庫、横浜にも拡大されました。近いうちに全国主要都市で使えるようになるそうです。こうなるとピザの宅配サービス並みの時間で商品が届くので、夜に急な来客があっても、簡単に接待やパーティーの準備が整いそうです。
米国ではネット通販に押されて家電量販店は急速に消滅しましたが、日本ではヨドバシカメラが実店舗とネット販売を統合することに成功しました。こうなるとアマゾンはネット専業なのに対してヨドバシカメラは実店舗を持っているので、工事やサポートも含めて即配できることや無料の会員がこのサービスを利用できる点で、もはやアマゾンに勝っています。
前月のコラムではIoT(物のインターネット)についてお話しましたが、現代の成功のカギはネットとリアルの融合にある、と言えるようです。ホームページやシステムの制作技術は差別化が難しくなりましたが、これをリアルに結びつけるアイデアがビジネスの成功につながる時代となっています。当社も多くのお客様のネット販売システムを構築して、ビジネス拡大のお手伝いをさせていただいていますが、商品よりも売り方の差別化が集客力に影響し、ちょっと付加価値を付けた売り方の知恵が発見できると、集客が大きく拡大します。まさに、ピータードラッカーが予言していたイノベーションの時代になっています。
この時代変化を見越して、以前「もしドラ」のベストセラーを出版された岩崎夏海氏が、その続編である「もし高校野球の女子マネージャがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』をよんだら」を上梓されました。前作の「もしドラ」よりも今回の「もしイノ」の方がおもしろい、との評判です。ネットビジネスに関わっている方も、そうでない方も、読んで楽しく学べるビジネス小説です。
イノベーションの時代到来は、過去を引きずる人には厳しい時代ですが、未来に向かって生きる人には、豊かなチャンスに恵まれるかもしれません。

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IT業界からまた新しい流行語が発信されて、世間の話題になっています。それは「IoT」といわれる新語です。「IoT」は「インターネット・オブ・シングス」の略で、「物のインターネット」と訳されています。いろいろな物をインターネットに接続することで、役に立つ新たなサービスのしくみを作ることを言います。これからは、「IoT」を使って、画期的なサービスが生まれることが期待されています。
「物のインターネット」といわれてもピンと来ない和訳ですが、いくつか事例を考えれば次々にアイデアが生まれてくるので、イノベーションの源泉ともなりそうな言葉です。例えば、鉄道の各車両にセンサーが設置されてインターネットに情報が送られると、駅で待つ乗客は空いている車両をスマホでチェックして、空席のある列車の前で待つ、などのサービスが生まれそうです。車で出かける際にはカーナビにセットされた目的地近くになると、その時に空車のある駐車場へ自動的に誘導してくれるようなサービスも考えられます。ショッピングセンターやレストランに行くと、店内のセンサーが皆様のスマホから情報を読み取り(許可に設定されている場合)、自分好みの品物やメニューを案内したり、自分が興味を持つものだけを表示したりする、サイン広告なども可能になります。しかし、こうなると自分がどこでどのような行動をしているか、いつも誰かに見られているようで窮屈な思いをする場合も生じるかもしれません。このような違和感を人々に与えることなく、日々の暮らしを便利にする工夫も「IoT」には求められます。
現代はインターネットからさまざまな情報を得ることで、生活が大変便利になりました。しかしそれらの情報は過去に誰かが入力したものであり、リアルタイムの情報をインターネットから得ることはまだ難しい状況です。これが、いろいろな物がインターネットにつながる「IoT」になると、センサーが読み取ったリアルタイムの情報を得ることが出来るので、情報の活用方法が一歩進んだものになります。
これからの社会で「IoT」をどのように活かすのか、大変興味深いテーマが生まれてきました。しかし、これを利用してビジネスの新展開を考えるのは、なかなかハードルが高そうです。ちなみに、経産省は今年の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」において、「IoT」を活用した画期的な生産性向上の取り組みには、最高で3000万円を補助するという、新しいしくみが盛り込まれました。これにはどのようなアイデアで挑戦すべきか、知恵を絞るのが一苦労のテーマです。

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スマホにはなかなか切り込めなかったマイクロソフトが、ウィンドウズ10モバイルで期待を盛り上げています。スマホの世界では、アップルのiPhone(アイフォーン)とグーグルのAndroid(アンドロイド)が、長らく市場を独占していますが、ここにマイクロソフトがウィンドウズ10モバイルで、再び攻勢をかけ始めました。今回その武器として注目を集めているのが、Continuum(コンティニュアム)と呼ぶ機能です。
スマホは持ち歩きに便利ですが、自宅やオフィスで使い慣れているウィンドウズパソコンとは操作方法が異なるため、スマホは通話とメール・SNSのみで、ワードやエクセルは使わない。あるいは外出や出張にはスマホとともにノートパソコンも持ち歩いている、という方が多いのではないでしょうか?
コンティニュアムはウィンドウズ10モバイル搭載スマホをテレビに接続すると、あたかもウィンドウズパソコンのように表示させる機能です。これにブルートゥース内蔵の外部キーボードを無線でつなげれば、スマホがたちどころに簡易パソコンになります。これなら出張先にノートパソコンを持って行かなくても、ホテルの部屋のテレビを使って、スマホでワードやエクセルの作業ができるようになります。メール確認やホームページ閲覧も、テレビの大画面で見ることができるので、外出先でのモバイル環境を大きく改善してくれることは間違いありません。
外出をますます便利にしてくれそうな予感のあるウィンドウズ10モバイルですが、まだマイクロソフト純正のスマホは日本では発売されていません。しかしタブレットパソコンでサーフェスを成功させた実績がありますから、次はウィンドウズ10モバイル搭載マイクロソフトフォンをブレークさせる可能性はあります。また、パソコンメーカーのバイオからコンティニュアムが使えるウィンドウズ10モバイル搭載スマホが発売される予定があり、こちらの製品にも期待が持てます。
アイフォーンが出ても、アンドロイドが出ても、やはり仕事や作業に手放せないウィンドウズパソコン。これがある限り、マイクロソフトの反撃はまだこれからも続きそうです。

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かつて日本を代表するホテルといえば、帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニが御三家と称されていました。ところが今はシェラトン、ハイアット、マリオットなど、外資系ホテルの名前が上位に出てきます。それもそのはず、日本の一流ホテルと外資系ホテルでは、その客室数や会員数が二桁以上違うので、世界的な集客力において勝負にならないのが現状なのです。
明治新政府は欧米列強に負けない国を作るため、重厚長大産業を育てて強い国づくりを進めてきました。そのDNAは今でも健在で、産業といえば製造業、商業、サービス業の順で語られ、サービス業でも電力やガス、通信事業から始まり、旅行業は産業としてやや目立たない存在です。ところが世界に目を向ければ、この状況は大きく異なります。全世界のGNPの10%は旅行業が創出し、就労者の11人に1人は旅行業に従事している事実があります(2015国連統計)。欧米先進国はもとより香港に拠点を置く中国系企業が巨大な資本を投じて全世界にホテル網を構築し巨大なビジネスネットワークを展開しています。人の移動を担う旅行業はまさに人類の大動脈として、経済面でも大きな存在感を持っているのです。重厚長大産業が新興国へ移動した後の先進国において、旅行業は国を支える一大産業となっており、国際収支においても全世界で年間168兆円の外貨が獲得されているのです(同国連統計)。
わが国では経済面において存在感が小さかった旅行業に、今大きな追い風が吹いています。ニュース等で「爆買い」が取り上げられるように、海外からの旅行客が急増していることです。海外からの流入旅行者をインバウンドといいます。2002年に小泉内閣が打ち出したビジット・ジャパン・キャンペーンで増え始めたインバウンドは、東北震災後の2012年に836万人まで減少しましたが、2014年には1341万人まで回復し、その後増加傾向に拍車がかかっています。当初目標の2000万人は東京五輪が開催される2020年を待たずして、来年頃には突破が確実と言われています。これには中国の急速な経済成長や為替レートの円安シフトなど、短期的要因もあるので今後変動する可能性はありますが、日本が世界の人々から「行ってみたい」と思われる国になる流れが出来てきたことは確かなようです。この流れが絶やされずに続いていけば、旅行業が近未来の日本経済を支える一大産業となることは間違いなさそうです。
2014年の国内観光消費は前年比8.1%減の18.5兆円(観光庁)となり、長期的な低下が続いています。2015年は久しぶりにプラスになりそうですが、これは団塊の世代が引退に伴って旅行する一時的な現象で、その後は再び減少すると予想されています。一方インバウンドによる旅行消費は2014年に2兆円なので、まだ観光消費全体の11%に過ぎず、今後は旅行客の数と消費単価の両方を上げていくことが課題となります。それには、行政を含めて観光業に関わる人々のさらなる努力も必要とされるでしょう。
観光業は新興国との競争も少なく、海外移転も起こらない先進国型ビジネスです。この分野が成長発展し、より大きな外貨を稼ぎ出すことで、豊かな日本経済を支える担い手となるよう期待したいと思います。

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9月11日に開かれた第15回経済財政諮問会議の席上で、安倍晋三首相が突然切り出した「携帯電話料金が家計負担の大きな課題である。総務省が見直しを検討するように」との鶴の一声で、携帯業界は大騒動となりました。その後の諮問会議では、携帯会社が高額の電話機を0円で赤字販売しているツケを、長期利用者が払わされている構造が月額料金を高くしている原因だ、として電話機の0円販売を禁止する通達を総務省が出すことになりました。
携帯料金を安くするための議論が、いつの間にか電話機の価格を高くする議論にすり替わっていることには、いささか疑問を感じます。そもそも電話機の0円販売は赤字なのでしょうか? 最も価格が安い時期にあらゆる割引を付けて他社から乗換え契約すると、電話機代0円かつ月額料金2,000円でアップルのiPhone6を契約することも可能でした。それでも2年縛りの契約なので通算48,000円、契約料も加えると合計51,000円の支出は余儀なくされます。iPhone6の定価は74,800円と高額ですが、携帯会社がAppleから仕入れる価格は恐らく51,000円以下、そこから逆算して電話機の0円販売が可能なのだと考えられます。電話機の0円販売は赤字商売ではなく、携帯会社はしたたかに利益を上げているはずです。そうなると総務省が指摘するように、電話機の0円販売を禁止すれば携帯会社の赤字が減って月額料金引き下げにつながる、という流れには疑問が残ります。そもそも会議に参加させられた携帯会社のトップ達は、電話機の赤字販売という言葉を一言も口にしていません。電話機の0円販売で利益を出していたのであれば、この販売方法を禁止することは携帯会社の収益を悪化させて、逆に料金値下げの余地が小さくなる可能性があります。利用者に不平等が生じているとの議論も出ていますが、0円携帯電話の契約の自由は誰にも保障されているので、これは利用者の選択であり販売方法の問題とは言えません。
かつてこの業界に関わっていた筆者の目から見て、携帯電話の販売方法はあらゆる知恵を動員して作り出された芸術作品のようにすら見える高度な技で出来ています。これが日本の携帯電話を短期間に発展させて、世界トップクラスの品質(3G人口カバー率100%)を、世界平均を下回る料金(スマホ6400円、ガラケー1800円)で提供できている原動力になったものと考えられます。それに対して諮問会議に参加した面々は、一般消費者同様に0円販売のトリックにかけられたのかもしれません。毎回の専門部会の報告を見る限り、商売の素人集団による本質を外した議論が続いているようです。
各界の有識者を集めた経済財政諮問会議は、国の将来を左右する大所高所からの経済運営のあり方を議論する場のはずですが、その重要な場において携帯電話の0円販売を社会問題ととらえて論議をしている様は、情けないというより滑稽に感じられます。
ともあれ、そろそろ携帯電話機を新しくしたい、と考えている皆様、年明けからは料金プランに若干の値下げ(に見える)料金プランが出てきても、乗り換えによる「携帯0円!」ポスターは、しばらくお目にかかれなくなるかもしれません。買い替え検討中の方はお急ぎを。

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次世代産業の一つとなる期待を負いながらも、危険な物のイメージがつきまとってきたドローンですが、この12月からようやくそのあり方が変わりそうです。今年12月から航空法を一部改正した「ドローン規制法」が施行され、これまでは飛ばしてよいのかいけないのか、わかりにくかったルールが明確化されるようになります。これで「ドローンビジネス」もやり易くなると、業界から歓迎されています。
新しい法律では、空港周辺や東京23区などの人口密集地を除いた空域で、ドローンを自由に飛行させることが可能になります。ドローン利用に際しては「日中に飛ばす」「周囲の状況を目視で常時監視する」「人や建物などと一定の距離を保つ」の3点が義務付けられます。また安全性を確保し国土交通大臣の許可を取得すれば、空港周辺や人口密集地でもドローンを飛ばすことができます。許可は申請から約15日間で発行されるようです。これまではドローンを規制する法律が無かったので、逆に人目につくところで飛ばしづらい雰囲気がありましたが、12月からは晴れてドローンを飛ばすことが出来るようになりそうです。
「ドローンを何に使うの?」と聞かれると「今のところ空撮」と答えるしかありません。しかし、新しい機器の用途はメーカーよりもユーザーのほうが知っている、これはパソコンやスマホが実証してきました。今から30年近く前、高価だったパソコンを前にして「パソコンを何に使うの?」と聞かれ、答えられずに買うのをあきらめた思い出があります。パソコンのその後の華々しい変化はご存知のとおりです。
初期のパソコンと違って、ドローンはホビー用途なら数千円から、空撮用の実用機でも10万円程度からあるので「意外に安い」という声を聞きます。「操作が難しいのでは?」ということも良く聞かれることですが、実用機のドローン本体にはGPSや各種センサーが搭載されていて、自律的にホバリング(空中静止)するので、勝手に動いていったりふらついたりすることはありません。また遠方に飛ばしすぎて見失った場合には、自動的に元の位置に戻ってくる機能が備えられているので、ドローンが迷子になる心配もありません。とは言うものの安全な飛行のために、最低でも操縦者と安全管理者の二人で目視する必要はあります。
ドローンからの空撮映像には見る人を引き込む感動力があります。人間は3次元の世界に生きていますが、現実には2次元で物を見ている現実に、ドローンの空撮映像から改めて思い知らされます。普段見慣れている場所でも、ドローンが上空から撮影した動画像を見ると、新たなイマジネーションも沸いてきそうな予感がします。
なお、空撮のできるDJI製ドローンは当社で展示・販売していますので、ご興味のある方はお気軽にお申し付けください。

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この10月5日からマイナンバー制度が施行されました。国民が共通番号で管理されることに、戸惑いや不安の声が聞かれ、それに向けたセミナーの案内も見られるようになってきました。このマイナンバー制度については、憶測による誤解も少なくないようなので、技術的観点からまとめてみたいと思います。
来年2016年1月からは社会保険料や税金の納付に、マイナンバーの記載が義務付けられます。そのため給与や外注費を支払っている企業や個人事業主は、マイナンバーの管理が必要となります。管理者には安全管理義務が定められており、故意にマイナンバーを流出させると、4年以下の懲役又は200万円以下の罰金という重い罰則が定められています。しかし、故意でなくてもマイナンバーを流出させると、社会的信用を損なうことになります。ですからマイナンバーを取り扱うパソコンからは、情報を流出させない安全対策をとることが大切です。既にマイナンバー対策ソフトや、専用のシステムが市販されていますが、中小企業や個人事業種にとってはこれらの導入は、経営上の負担となります。マイナンバー制度の安全対策は費用負担のかかる対策でなくとも、正しいセキュリティ対策を施せば良いと考えられます。
情報流出に対する求められる対策は、次の3点となります。①マイナンバーにアクセスできるパソコンは起動時のパスワードをかけておくこと、②利用するパソコンには正しいセキュリティ対策を施しておくこと、③外部に情報を発信する際にはファイルにパスワードをかけておくことです。これらの安全対策には多少の知識と設定作業が必要ですが、特別な費用はかかりません。しかもこれらの安全対策はマイナンバー固有のものではなく、本来やるべき安全対策が改めて求められているものと考えることもできます。その意味では、マイナンバーの導入は企業の情報安全対策を見直す良い機会と言えるかもしれません。
ところで働く側の人が注意しなければならないことは、収入の道が二つ以上ある人です。例えば、社員として働いている人がアルバイトなどをしている場合、これまではアルバイト収入を申告しなくても、よほど大きな収入でなければ発覚することはありませんでした。しかしマイナンバーが導入されると、アルバイト給与の支払いにもマイナンバーが使われるため、税務署は簡単に名寄せができるようになります。副収入のある人は正しい税務申告をすることが大切です。また、株式投資などで利益を得て申告をしていない場合も、マイナンバーで税務署は把握が簡単になるので、正しい申告をする必要があります。しかしマイナンバーで大きな影響を受けるのは一部の富裕層で、一般人が大きな損失をこうむる事はあまり考えられません。雇用する側も働く側も、やるべきことがきちんと出来ているか、チェックする機会でもあります。
マイナンバー導入はインパクトの強い政策であり、それが有効に機能するか有害なものになるかは、運用する行政側の理念にもよります。この制度がより良い明日を作る原動力になってほしいものです。

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9月2日から開始される動画配信サービス「ネットフリックス」が黒船襲来として、映像業界では動揺が広がっています。動画配信というと「ユーチューブ」や「ニコニコ動画」を想像する方もいるでしょうが、これらはユーザーがアップした動画をユーザーが見るという動画共有サービスです。「ネットフリックス」は米国からやってきた有料動画配信サービスで、自らがコンテンツを作って配信しています。いわばインターネット上に新しい放送局が一つ出来るようなものです。
インターネット上の有料動画配信サービスでは2007年に設立された「Hulu(フールー)」があり、日本ではこちらの方が一足早く2011年にサービス開始されました。これは映画会社が中心となって米国ロサンゼルスに設立された企業で、数多くの最新映画の配信サービスに特長がありますが、映画見放題のサービスだけでは多くの人の心をつかむことは出来ず、現在国内では苦戦しています。一方「ネットフリックス」は1997年に米国シリコンバレーに設立された企業で、今まで継続的に全米契約者数1位の座を守っています。その理由は、数多くの映画配信に加え自社独自の質の高い番組コンテンツの制作、既存テレビ局との提携による人気ドラマの配信など、多彩な動画の配信を行っていることです。ドラマなどの視聴中にコマーシャルが入らず気持ちよく見られることから、米国はケーブルテレビと契約していた人々が「ネットフリックス」に切り替える動きが相次ぎ、ケーブルテレビ業界の勢力地図を塗り替えてきました。
米国のテレビ放送は有料のケーブルテレビが一般的に普及していたので、有料の「ネットフリックス」が受け入れられやすく、ケーブルテレビの契約を奪う形になりました。日本では民法テレビ局が地上波で無料配信しているので、有料の動画配信は普及しないのではないか、との意見もあります。しかし途中にコマーシャルが入らないのは映画やドラマなどを気持ちよく見るための大きな差別化要因です。毎月1,000円前後の視聴料を支払うことで多くの映画が見放題、民放各局の人気番組をコマーシャル無しに見ることが出来る、そして独自の映像コンテンツも見られるとあって、「ネットフリックス」が日本でも爆発的に広がるのではないか、との見方が優勢となっています。
日本ではすでにフジテレビと業務提携して、まずはフジテレビの人気番組が先行配信される予定で、今後は他の民法各局とも業務提携を広げていく考えのようです。さらに今後発売されるテレビのリモコンには、「ネットフリックス」接続専用のボタンが設けられる予定で、すでに東芝とパナソニックの一部機種が対応しています。
日本の映像配信業界のあり方を変えることができるのか、「ネットフリックス」に関心が高まります。

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先月のコラムでもご案内したとおり、マイクロソフトの最新版OSとなるウインドウズ10が、さる7月29日にリリースされました。ところが、これまでのウインドウズのリリース時とは異なり、カウントダウンイベントは無くなり、静かな幕開けとなりました。ウインドウズ10には、スタートボタンの復活やデスクトップにおけるスマホアプリの動作改善などがありますが、最も大きな変化はこれが最後のウインドウズになることです。
これまでマイクロソフトは数年毎にウインドウズやオフィスのバージョンアップを行い、その販売収入がビジネスの根幹となっていました。IT業界もウインドウズのバージョンアップサイクルに乗って、新製品への買い替え需要で成長してきました。しかし今回のウインドウズ10を最後に、マイクロソフトはその後の後継ウインドウズは出さないと表明しています。ウインドウズのバージョンアップビジネスモデルが終焉したことを表しており、ITビジネスのパラダイムシフトが起こった瞬間と言えます。
ウインドウズ95の発売から20年、インターネットの進化も背景にITビジネスは驚異的な進歩を遂げてきました。ところが残念なことにこの期間はちょうど日本の大きな景気低迷期と重なっており、世界の大きな潮流から遠ざかった文化に浸っていました。激安や価格破壊などのキーワードでデフレと低金利が続く中、先進各国のインフレと高金利に国内の資金が吸い上げられ、前向きな技術開発に大きく遅れをとった結果が、日本の代表的なIT産業の壊滅的な状況を招くこととなりました。ようやく日本のIT産業もインフレ政策で前向きに進もうとしたところで、ビジネス環境のパラダイムシフトに遭遇するとは皮肉な巡り会わせです。
しかし環境の変化は既存ビジネスにとってピンチであると共にチャンスにもなります。過去の成功体験にとらわれず、一から新たなビジネスモデルを作り出すことで次のチャンスをつかむ、今回のマイクロソフトの方針転換にはそのような決意が感じられます。歴史ある大手電気メーカーが赤字決算や粉飾決算で揺れている中、これまで見向きもされてこなかった町のベンチャー企業が、次世代のビジネスを切り開く事例が次々と出てきています。マイクロソフト最後のウインドウズ10が、日本の歴史を再び変えるきっかけになるのかもしれません。

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