観光庁から今年4月~6月にかけての、訪日外国人消費動向調査結果が発表されました。訪日外国人による旅行消費額は、過去最高の1兆776億円となった模様です。この金額は同時期の電子デバイスの輸出金額である8300億円(JEITA調査)を軽く上回っています。かつて「半導体王国」と言われた日本の、産業構造の変化を象徴する出来事です。

政府は2020年に訪日外国人いわゆるインバウンドを4000万人とする目標を掲げていますが、国連観光統計によると日本にインバウンドが増えたのは国の政策効果ではなく、全世界的海外旅行ブームによるものです。これは20年以上続く世界的好景気で、人々が海外に出掛ける余裕が生まれたのです。一方日本人には海外旅行はおろか、国内旅行にも足踏み状態が続いています。これは過去20年以上に渡って勤労者の雇用者報酬、いわゆる給料が減り続けたために、旅行に出かける余裕がなくなったためと見られます。

国民の経済力が弱くなった日本で、これからの国内消費を再び活性化させるのは困難なことです。一方で、豊かになった海外からの訪日旅行客による旅行消費額の増加は、国内の産業が再び活性化できる数少ない機会と言えます。しかもインバウンドによる旅行消費は宿泊や飲食にとどまりません。

今では京都や東京では当たり前になった、着物のレンタル、人力車、似顔絵などはもちろん、酒蔵、祭り、焼き物から茶道、華道、禅の修行まで、多くの日本人が経験をしていないことにまで、外国人による体験旅行は広がってきています。これを地方の観光地まで広げれば、地域活性化に役立つだけでなく、日本経済を活性化させる重要なエンジンになります。

訪日外国人向けのビジネスをあらゆる産業の機会と捉えて、発想を転換することによって、日本は世界のユートピアとされる観光大国に変わっていけるはずです。そのために最も必要なことは、日本人の意識改革です。これこそが日本を再び偉大な国に変える力だと考えます。

Category: 社長ブログ
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Both comments and pings are currently closed.

Comments are closed.