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現在政府内において、日本企業の生産性向上が大きな課題として取り上げられています。2016年での日本人の労働生産性は1人当たり783万円で、OECD加盟35か国中22位となっています((公財)日本生産性本部レポートより)。体感的には1人当たり783万円でもかなり高い気がしますが、中小企業ではこれよりも大幅に低いことは想像に難くありません。

国内の製造業の現場では、生産ラインのロボット化が進展し、中小企業の製造現場でもラインの自動化がかなり進展してきています。ところが中小企業の事務所ではいまだに、帳票類をエクセル等で処理している事例があります。エクセルのようなスプレッドシートが本格化したのは約20年前であり、これらはすでにレガシーツール(時代遅れの道具)と言えます。それを今も業務に使っていることで事務作業の生産性が低下し、ひいては長時間労働の原因になっているなら、これは労使双方に不幸な状況と言えます。

2012年12月に第2次安倍内閣が発足して4年、経済再生を旗印にアベノミクスを進めてきましたが、経済成長は実現せず実質国民所得は4年連続減少という結果になりました。そのため政府は新たに中小企業の生産性向上に注力を始めたようです。これからは本格的に中小企業の生産性向上をバックアップするものと予想されます。

平成28年度補正予算で、その名もズバリ「サービス等生産性向上IT導入支援事業」が始まりました。優れたパッケージソフトを導入して生産性を改善する取り組みを行う中小企業に対して、費用の2/3まで限度額100万円の補助金を出す新たな施策です。最近の補助金施策が多いことについて賛否の意見があるようですが、政府が目標に対して企業を誘導する実効性の高い手段は、税金か補助金となるのでしょう。

多くの作業を人手で行っているなら、賃金の安いアジア新興国の価格競争に勝つことは明らかに不可能です。しかし、IT化を促進して作業をコンピュータ化、自動化することで、労働生産性を上げることができれば、賃金の安い新興国に勝る利益を上げることが可能となります。これまで20年以上に渡って新興国に成長を奪われ続けてきた日本ですが、生産性を上げることができれば、再び経済成長を取り戻せます。

経済成長が続く世界経済の中で一人取り残されてきた日本ですが、政府が生産性向上に本腰を入れ始めたことで、ようやく四半世紀以上前の元気ある日本が再び戻ってくる予感が漂ってきました。

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