東日本大震災の後に2012年から日本に導入された、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る制度いわゆるFIT制度により、太陽光発電パネルが各地に設置されてきたことは、地方の道路をドライブしていると目に入る光景でわかります。これら太陽光発電パネルの製品寿命は20年から25年と言われています。つまり今後10年度には大量のパネルが廃棄物として出てきます。自治体では処理能力に限界があるので、現在の所有者に処分費用が課される見込みですが、後からこのような費用が課されることには問題が生じることが予想されます。
太陽光発電パネルは近未来に迫ってきた問題ですが、急増している電気自動車やハイブリッド車に積載されているリチウムイオンバッテリーも大量廃棄の時代がやってくると、その処分費用は誰が負担するかの問題が生じます。車を処分する段になって処分費を請求されるとなると、不法投棄された車が至る所に放置されるなどが懸念されます。
半導体製品は廃棄物の中に貴金属や希少資源が含まれているため、廃棄物を無料で引き取ってリサイクルする業者が存在します。この循環が続けばよいのですが、資源価格はその時の社会情勢や為替レートによって変動するため、資源循環ルートは安定して確立していません。たまたま現在は資源が高騰しているため、半導体廃棄物は無料で引き取る業者がありますが、この状況が継続する保証はありません。
太陽光パネルやリチウムイオン電池など大物廃棄物の陰に隠れていますが、パソコンの廃棄物も大きな社会問題です。今年は10月14日に迎えるWindows10のサポート終了に備えて、パソコンを買い替える動きが活発になっています。これもリサイクル業者の処理能力を超えると、不法投棄に繋がるリスクを常に抱えています。
特にパソコンは構成部品が寿命に達していなくても、ソフト的に使えなくなるという機能的寿命が先にやってくることが特徴です。Windows10のサポート終了問題などはその典型例と言えます。これからはパソコンも機能的寿命に達したら買い替えるのではなく、使える部品を選別して再利用する取り組みが、環境保護と希少資源を維持するために大切になってくると思います。