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オンライン化成功のカギは?

新型コロナが残した最大の功績は、急速に発展したオンライン環境がその一つであることに反論する人はいないでしょう。ZOOMを使ったオンライン会議は、僅か2か月の間にあまねく日本中に普及する快挙を成し遂げました。それに続けと、オンライン展示会、オンライン旅行、さらにはオンライン墓参りまで登場しました。
ここまでは情報交換の手段としてオンラインが使われていますが、ZOOM飲み会となるとやや性質が異なります。お互いの映像はオンラインで交流できますが、飲み物や食べ物はオンラインとはいきませんから、予め各自がテイクアウトしたものを飲食しながら、一緒に画面に向き合うことになります。果たしてZOOM飲み会はオンラインの利用方法として効果があるのでしょうか? これを実際にやってみると、あたかも飲み屋の中にいるような感覚で飲み会を楽しんでいる自分に驚かされます。
小学校に上がる前の子供たちは、親が絵本を読み聞かせると、目を輝かせて聞き入っています。これは絵とお話しに意識が没入して、あたかも自分かその場にいるような感覚に陥っているのです。テレビが本格普及する前に幼少期を過ごした人なら、自転車の荷台に紙芝居を乗せたおじさんが近所の公園にやってきて、拍子木をたたきながら始める黄金バットなどの物語に没入した記憶をお持ちの方もいるかもしれません。この時感じる没入感覚は誰もが持っている想像力から生まれるものです。
大人になると想像力が欠如するので、子供のように簡単に没入できなくなるのですが、この感覚をうまく刺激することができれば、オンラインで様々なイベントを体験してもらうしかけが可能になります。この時に没入感を高めてくれるのは、パソコン画面からの視覚・聴覚に加えて、味覚・嗅覚・触覚など五感による刺激です。ZOOM飲み会は図らずもこの五感刺激による没入のしくみを実現した一つの事例と言えるでしょう。
オンライン環境が整った社会になった今、これをいかに有効活用できるかが新たなビジネス機会を生み出す源泉になる、と言っても過言ではないでしょう。そこに有効な手段は、人の五感を刺激する仕組みを入れ込むことだと思います。見る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう、これらをどうやってオンラインに乗せるのか? 高度なテクノロジーに頼ることなく、テイクアウトしてきた飲食物を画面の前に置いて飲み会をする、原始的とも言えるZOOM飲み会は、これからのニュービジネスのあり方を示唆してように感じられます。