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生成AIと核融合発電

世界のIT業界は次世代イノベーション技術として生成AIをロックオンしました。今後販売されるスマホにも、バージョンアップされるブラウザにも、生成AIが標準搭載され始めています。これを利用する人の数は急激に増加することは間違いありません。
生成AIは指一本で簡単に起動しますが、そのバックグラウンドでは高性能サーバーが超高速で演算をしています。そしてサーバーを束ねるデーターセンターが半端ではない大電力を消費しています。その電力をどうやって賄うのかが、これからの社会問題となりつつあります。電力が賄えなければ日本は生成AI競争から脱落する可能性も否定できません。

日本の電源は約7割を火力発電で賄っており、多量の温室効果ガスを排出しています。再エネは約2割ですが、その多くを占める太陽光発電所は、景観を損ねるとして反対運動が起こっており、今後は増やせる余地が限られています。そして残る1割は原子力ですがこれには反対意見が多く、発電所の新増設は難渋しています。つまり八方塞がりの状況にあり、このままでは生成AIの稼働に必要なデーターセンターを今後建設することは不可能です。
ここで注目したいのが核融合発電です。既存の原子力がウラニウムの分裂反応熱を利用するのに対して、核融合はトリチウムの融合反応熱を利用します。詳細は省いて、核融合発電は爆発や放射能汚染の危険性が極めて低く、温室効果ガスの発生もありません。その燃料は海水から抽出するので資源の問題もなく、かねてより理想のエネルギーと言われています。最大の問題は高温プラズマを閉じ込めておく技術が未完成であることです。

核融合炉の開発には巨額の資金が必要なので、日米欧ロに中韓印を加えた国際協力で、ITERと呼ばれる研究開発が進められ、2040年の完成を目指してフランス国内に実証炉の建設が進められています。ところが最近になってアメリカのベンチャーが核融合事業に乗り出し、CFSという企業が2027年の稼働を視野に発電炉の建設を進めています。この企業にはマイクロソフト、グーグル、米国エネルギー省、シンガポール政府、ノルウェー国営石油会社などが出資しています。そして、マイクロソフトは2027年の買電契約まで交わしています。2027年の完成を疑問視する声もありますが、核融合発電技術の完成が近未来に来ていることは間違いなさそうです。
核融合発電は資源問題と地球温暖化問題を解決して、大量の電力を安定供給できる発電技術です。生成AI開発競争で後れをとらないためにも、日本が先頭を切って完成させるべきものです。もはや日本政府が本気になって検討するべき事案ではないかと思います。