2026年はパソコン価格が過去にない大幅な値上がりとなると予想されています。主力メーカーは近日中に販売価格の大幅な書き換えをすることをすでに表明しています。
この原因となっているのは、米国でのデータセンター建設ラッシュです。米国ではAIを現代の産業革命と捉え、この千載一遇のビジネスチャンスを逃さぬよう、GAFAMと称される大手IT企業が先を争って生成AI向けデータセンターの拡大を進めているのです。
データセンターはいわば数万台の超高性能パソコンを収容したような建物で、生成AIサービスの中核を担う施設です。米国では昨年計画された5000棟を超える施設の建設が始まっています。この施設がパソコンの中核部品を飲み込み始めているのです。
データセンターは大量のメモリを必要とします。そのため世界3大メモリーメーカーの一角である米国マイクロン社は、パソコン用メモリの生産ラインをデータセンター向けに切り替えることで旺盛な需要に応え、パソコン向けメモリの生産から撤退することを昨年12月3日に発表しました。
この発表を受けてパソコン業界に激震が走りました。マイクロン社は世界のメモリ需要の25%を供給してきたので、この部分の供給が無くなると相当量のパソコンの生産ができなくなります。新規メモリ製造工場の建設には少なくとも3年はかかるので、新たな供給体制が整うまでは長期にわたって世界的なパソコンの供給不足が発生すると予想されます。
過去数十年に渡り、パソコン業界は常に供給が需要を上回る状況が続いてきたので、突然供給が断たれる状況はパソコンメーカーが初めて直面する局面です。希少なメモリの取り合いで、勝者は誰になるのか? 需要を満たす供給ができない状態になるとパソコンの価格はどうなるのか? 2026年はパソコン業界が未知の領域に突入する年まわりになりそうです。