会社ロゴ
お問い合わせ Facebook

コロナバブル経済の長者は誰になるのか?

全世界が新型コロナウイルス感染症で経済活動を制限する中、ニューヨーク株価や日経平均株価が過去最高値を更新し続けています。こんなご時世になぜ? という言葉も聞かれますが、こんなご時世だから株価が上昇を続けていると考えられます。 正常な経済活動が行われている時には、株価は実態経済の6か月先行指標として動くので、景気が回復局面に入る手前から上昇を始めて、悪化局面に入る手前から下降を始めるのがセオリーです。しかし、バブル経済による株価は教科書とはやや異なる動きを見せます。かつて1986年から始まったバブル経済を現役で体験して、今も現役で活動している人は少数派になってきましたので、この時の状況を簡単に振り返ってみたいと思います。
 時は1985年9月、日本の経済力急拡大に危機感を持った米国政府は、円ドル為替レートを大幅なドル安に導くことを日欧に要求しました。このプラザ合意により為替レートはその後の2年間で、1ドル240円から120円への急激な円高となりました。これに危機感を持つ政府日銀は、当時の公定歩合を大幅に引き下げたため、株や不動産への投資が過熱化し、その後のバブル経済を招きました。この時の日経平均株価最高値は38,915円でした。このバブル経済は、日銀が不動産への貸し出し制限を行ったことで、1990年初頭には一気に崩壊しました。それ以降日本は長期不況に苦しめられることになり、日経平均株価は10年間で7,607円まで下がりました。
 この時のバブル経済を振り返ると、その時の立ち回り方で勝者と敗者がはっきり分かれました。簡単に言えば、株や不動産の上昇期に積極的に投資を行い、バブル経済崩壊後に素早く撤退した人が後の勝者となり、逃げ遅れた人が後の敗者となりました。これは後から振り返るとわかりますが、バブル経済の最中は誰でも異常な心理状態になり、その終わりが見えなくなって多くの人が手仕舞いできずに利益を失いました。そして今、日経平均株価が3万円を超え、ビットコインが1年間で8倍上昇する状況は、明らかにバブル経済になりつつあると言えるでしょう。ここでの勝者となるか敗者となるかは、バブル経済の終わりを的確に認識できるかどうか、ということが過去のバブル経済の体験から言えることです。
 昨年はコロナ対策として70兆円に上る財政出動が行われました。実際には増加した真水部分は27.3兆円と試算されていますが、これだけ巨額の資金が政府部門から民間部門に移転したので、それが現在のバブル経済を引き起こしていると考えられます。そして今年も巨額の財政出動が決定したので、今回のバブル経済はまだしばらく続く可能性があります。ここで大切なことは手仕舞いのタイミングを逃さないことです。コロナバブルで資産を増やし崩壊時に素早く手仕舞いした人がコロナ長者となった、と後の世で語り継がれるかもしれません。