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キャッシュレス・消費者還元事業 あなたは制度を理解していますか?

 10月からの経済対策として国が注力する、キャッシュレス・消費者還元事業が始まりました。しかし身の回りではその還元率として「2%、5%、10%」の数値が乱舞して、キャッシュレス決済における国の消費者還元制度がわかりにくくなっています。それが逆に消費者の混乱を招き、ひいてはキャッシュレス決済の進展に逆効果になっているようにも見受けられます。
 国が決めた本来の趣旨は、中小企業が運営する店舗で消費者がキャッシュレス決済をした際に、支払額の5%を税金でポイント還元する制度です。ですから大企業が運営する店舗ではこの制度の対象外になります。ところがコンビニなどではフランチャイズ契約で運営される中小企業の店舗があるので、この場合は2%の還元をすることとなりました。まとめると大手の直営店では還元無し、大手のフランチャイズ店では2%還元、中小の地元店では5%還元となります。ところでコンビニには本部直営店と中小のフランチャイズ店が混在します。同一のブランド店間で還元に差が生じることは好ましくないので、コンビニ大手3社は直営店でも差額は本部負担で、全店一律2%還元としました。さらに2%はポイント還元ではなく即時値引きとしました。これが事前に二転三転したコンビニにおける還元制度の最終形です。
 ここから話がややこしくなるのですが、昨年からサービスを開始したスマホQR決済事業者は、新規顧客獲得のため、政府の施策に上乗せする独自の還元制度を始めました。ソフトバンク系列のペイペイは5%還元対象店で決済すると、5%を上乗せして10%還元します。ただし、2%還元対象店での決済に上乗せはしませんのでコンビニでの決済は2%還元のままです。一方の楽天ペイは0%や2%還元の店での決済も含め、すべての店で5%還元します。整理すると中小の地元店で購入する場合は10%還元のペイペイ利用がお得で、大手チェーン店やコンビニで購入する場合は5%還元の楽天ペイ利用がお得となります。この他にも多数のQR決済事業者が乱立していますが、簡単に使い分けるにはQR決済は2社程度に絞るのが便利ではないかと思います。
 ところで、クレジットカードは決済金額の3%から5%をカード会社が加盟店から徴収します。この手数料は最終的には価格に上乗せされるので、間接的に消費者の負担です。そのため来年6月まではこの手数料を3.25%以下にすることも、今回の制度に盛り込まれています。一方ペイペイは決済時の加盟店手数料を徴収しません。その理由については別の話として、クレジットカードとQR決済が併存する日本では、QR決済が今後主流になる可能性が高いと予想されます。これからは、店舗も消費者も早めにQR決済に慣れておいた方が良さそうです。