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第3次補正予算で国の補助金はどうなる?

今国会で審議されている第3次補正予算案は、19兆円という巨額の追加歳出が盛り込まれています。補正予算といっても、昨年度のほとんどの一般歳出が賄える規模です。この中で経済産業省の100億円を超える施策としては ①ポスト5G情報通信900億円 ②コンテンツグローバル化400億円 ➂グリーンイノベーション2兆円 ④中小企業事業再構築1兆1500億円 ⑤中小企業生産性革命2300億円 サプライチェーン対策2100億円 などとなっています。アベノミクスの目玉施策であった、ものづくり、小規模持続化、IT導入補助金は上記⑤の施策として菅政権になっても引き継がれ、来年度も継続されるようです。
 ⑤の予算規模2300億円は今では小さく見えますが、中小企業向けの補助金予算としては前回に引き続き、従来の実績を大きく上回る巨額の予算が充てられています。今年度補助金に採択されなかった企業にとっては、失地回復の機会となるとみられます。そして今回最も目を引くものは、1兆1500億円の予算が充てられている事業再構築促進事業です。この事業内容を読み解くと、中小企業が新規事業分野に思い切った挑戦をすることで、中堅企業から大企業へと成長を促すものとなっています。簡単に言えば、米国で小さなベンチャービジネスからGAFA(Google Apple Facebook Amazon)と称される巨大IT企業群が生まれたように、日本においても意欲ある中小企業が大企業に成長するのを後押ししようという、きわめて野心的な施策です。
 これまでわが国でベンチャービジネスが成長しにくいのは、政府の施策が中途半端な予算規模に終わっていたことが一つの原因と考えられてきました。それは一般歳出がゼロシーリングの呪縛に囚われ、思い切った施策が打てなかったからです。しかし今年度はゼロシーリングの呪縛が取り払われ、巨額の成長予算を組むことができたものとみられます。ややどさくさに紛れて登場した感のある施策ですが、これで世界に羽ばたくベンチャー企業が成長したなら、これこそ新型コロナがもたらした大きな僥倖となるかもしれません。
 昨年から今年にかけて政府が支出する数十兆円に上る国家予算の受け取り手は、ほかでもなく今日本に住む我々です。この予算の一部が有望な投資となって、そこに大輪の花が咲き、中小企業の成長が顕在化する機会となるかもしれません。後の時代に歴史を振り返った時、今年がバブル経済崩壊以降に失われた30年のターニングポイントだった、と言われる年にしたいものだと思います。