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伝統文化の保存と活用

愛知県知多半島の付け根に位置する半田市亀崎地区に立川美術館があります。この美術館は立川流彫刻六代目・立川芳郎尚冨棟梁によって運営されている民間美術館です。この美術館の特徴は、愛知の山車祭りで使われる山車飾りを作るための下絵や、山車からくり人形の設計図などの貴重品が保存されており、からくり人形は動く状態で、山車は人が乗って体験できる状態で展示されており、観光客がそれらを体験できる施設となっています。
過疎化の進む地方都市では祭りの担い手不足や維持予算不足により、貴重な伝統文化が消失する事態が発生しています。一方で日本の伝統文化は今、世界中から高い関心を集めています。2000年以上に渡って皇統を守ってきた日本は、世界で最も歴史の長い単一民族国家なので、貴重な歴史文化に事欠きません。このような歴史的文化財は、守るだけではなく外国人を含む多くの人々に見てもらうことで、その存在価値がより増します。
愛知県には日本で一番多い422輌の山車があり、約150輌の山車にからくり人形が搭載されています。これらのからくり人形は動力を使わずに、人手による綱裁きやゼンマイの力で、飛んだり跳ねたり変装したりと、おもしろい動作ができます。これらからくり人形には複雑な設計や緻密な工作が必要となり、新しいからくり人形の制作や維持には相当な費用が欠かせません。この過程に世界から関心を持ってやってくる旅行者を取り入れて、必要な費用をシェアできるようになると、日本の歴史文化とインバウンドツーリズムの良い関係が生まれます。
これまで外界に対して門戸を閉ざすことが多かった日本の伝統文化ですが、これからは人に見てもらってこそ価値があるものと発想を転換して、歴史文化を保存一辺倒から広く活用に切り替えることが、人口減少社会に向かう日本には大切な事ではないかと思います。