会社ロゴ
お問い合わせ Facebook

ディスクメディアの終焉

1970年にIBMが発表したフロッピーディスクに続いて、ハードディスク、DVD、ブルーレイと、長く使われ続けてきた円盤型のメディアは、半世紀余りを経てまもなく終焉の予感があります。
ハイビジョン映像を録画することを目的に開発されたブルーレイディスクは、今年2月にソニーがディスクの生産を止めると発表したことで、メディア時代の終焉だと語られました。メディアに代わってクラウドが情報流通の主役になったからです。メディアは、磁気から光媒体、半導体と、素材は変わりましたがそこには常にモノが存在していました。一方クラウドにモノはありません。そしてこれは単なるメディアの変遷ではなく、この世界の価値観がモノからモノ以外へと変化する、パラダイムシフトのきっかけとなることが予感させられます。
日本人は農耕人種なので、稲から米を作るように物に価値を見出してきました。一方、欧米人は狩猟民族なので、獲物を獲得するための情報に価値を見出してきました。そしてディスクメディアは円盤に価格が設定されるのに対して、クラウドはデータの移動量に価格が設定されます。つまりモノの数からサービスの量に価値観が変化しているのです。
日本は自動車等のモノの輸出で外貨を獲得する一方、グーグルやアマゾンなどのサービスを輸入することで外貨を流出させる状況になってきています。2024年の貿易統計をみると、日本はモノの輸出で107兆円の外貨を獲得し、モノの輸入で113兆円の外貨を支払い、6兆円の赤字となっています。一方サービスの輸出で35兆円の外貨を獲得し、サービスの輸入で37兆円の外貨を支払い、2兆円の赤字となっています。モノの輸出の主役は自動車、輸入の主役は石油です。サービスの輸出の主役はインバウンド消費、輸入の主役は専門業務サービスです。
上記の統計を2014年と2024年で比較すると、モノの輸出は減少する一方サービスの輸出は増加しています。この傾向はこれからも続くと見られています。そのため、これからはサービスの輸出に貢献するビジネスを増やしていくことが求められます。
ブルーレイディスクの生産が終わったのと同様のことが、モノの輸出にも起こる可能性は高いと見ておいた方が良いでしょう。日本の経済成長を持続させるには、モノの輸出からサービスの輸出へと、いかに切り替えるかにかかっていると思います。